かまきり旅行記Ⅳ

2014091808370000  絵協力、ささき ゆかり。

わしは、こねこのそばを離れ、ひとまず上空からこの周辺を眺めてみることにした。

青く澄みきった空、心地よい風がわしのはばたきを加勢した。

どんどん、上昇する。

茶色で透き通った4枚の羽根が太陽に照らされ、黄金色にかがやいている。

広がる緑の樹海、すみきった青い空に黄金色に輝くわしのすがた。

このコントラストはみせてやりたかった。

時折、細い、細い糸のようなものがきらきら、目の前を横切って行く。

一本、また一本、二本、三本、四本、5ほん、6ぽん・・・・!

細い糸がキラキラ輝く。わしは、その間を縫うように飛んだ、戦闘機のように交わしながら飛んだ!

「どうだ!わしの操縦技術もたいしたもんだろう!」なんぞと独り言をいいながら・・・。

急上昇、急降下、左旋回、右とまさしくジェット戦闘機さながら・・・、楽しい、ほんとうにたのしい。

ワン、ツースリー、ワンツースリー、ワルツ気分・・・?

ジルバ・・・、タンゴ・・・だんだんリズムが早くなる・・・?ついには16ビート・・・?

糸がたばになって次から次へとわしにせまってくる!

わあー・・・!からみつく糸をふりほどこうとするが、ねばねばしている。

それは、タコ糸をたぐりよせているようだった。

あっというまに、わしは身動きが取れなくなり、地上めざしてグルグル降下!

わしは途中気を失いかけていた。

すると?「カマキリさん、カマキリさんこっちへおいで!」

それはそれは、おおきな、大きなぶなの木・・・?

ぶなの老人は葉のついた、たくさんの手でわしを受け止めてくれたんじゃ・・

そして、そーっとわしを地上に降ろしてくれた。

ぶな老人の足元は、まるで、今できたてのふかふかな布団のようじゃった。

枯葉が幾重にも敷き詰められ、ミルクの匂いがした。

母のむねに抱かれているような気がした。

わしはひとまず羽根にからみついている細い糸をはがすことにした。

と、そのとき、わしの周辺が急にわいわい、がやがや、きーきーなにやらそうぞうしくなってきた。

遠くでさわいでいるような?近くでさわいでいるような?

さわぎはだんだん近づいてくる!ついに、わしはそのさわぎに取り囲まれてしまった!

目にへばりついたねばねば物体をこすり取り、よーく見た・・・!

なんと、なんと、小さな小さなくもの子供たち・・・?無数・・・?

わしに何か話しかけているようなのじゃ・・・?

いや!話しかけているんじゃない!わしをののしっている・・!

ばかだの!あほだの!どこみてるだの!としよりだの!はたまた、ないてるこどももいる・・・!

泣いている子供をなだめすかすように「ほら!泣いてないで話してごらん?どうした?」

「かまきりさんの、あほ・・!」いきなりあほ!よばわりはないだろ!と、おもいつつも、やさしいこえで

「そうだね、おじさんあほだものね・・?ごめんよ・・・」「ところで、どうしゅたのでしゅか?」

また聞いてみた。

くもの子供たちは、親元を離れるとき、糸を空中にはきだし、風に乗って舞い上がり移動するのだそうだ。

わしは舞い上がり移動の集団に、突進したのである。

「すまん、すまん」ひとまずあやまり、ちょっとふざけて「ごめんなしゃーい・・・!」

ころんと、ひっくりかえって、だだをこねるように、足を互い違いにひょうきんに動かしながら、

ごめんなしゃーい、こめん、めんたいこ、めんこいね、またあした・・・?

自分でいいながら、笑い出してしまった。

すると子供たちも・・・はははははあー、「おじちゃん、こんどからきをつけてね!」

ひとこと言い残し、一斉にぶな老人の幹を上り始めた。

最上部に到達したものから順番に、おしりをちょんと突き出し、糸を噴射、次から次へと空に向かう。

銀色に輝く糸、陽に照らされキラキラ輝く糸、次から次へと風に乗り舞い上がる。

それはなんともたとえようの無い光景である。美しい、ほんとうに美しい。

わしは、この子供たちが元気でいてくれることを願った。

「げんきでな・・・!」

わしは、ぶな老人に神様の居場所を聞いてみることにした。

つづく

9月18日、PM4時50分、気温17度、現在晴れ、昼頃少し冷たい雨が降りました。微風。